【ヒトラーの忘れもの】When you’re finished, you’re free to go home.

終戦直後に敗戦国の兵士がどのように扱われたか。敵国への憎しみはいつまで続くのか。憎悪の中、思いやりを失わずにいられるか。

カモコです(^▽^)o

ずっと見たいと思っていた「ヒトラーの忘れもの」を先日ようやく見ました。期待通りの素晴らしい映画でした。

ストーリー

終戦直後のデンマークを舞台に、地雷撤去を強制される敗残ドイツ軍の少年兵たちの過酷な運命を、史実に基づいて描いた。第2次世界大戦後、デンマークの海岸沿いに残された無数の地雷を撤去するため、元ナチス・ドイツの少年兵たちが連れて来られる。彼らを指揮するデンマーク人軍曹はナチスに激しい憎しみを抱きながらも、無垢な少年たちが次々と命を落とすのを見て良心の呵責にさいなまれるようになっていく。

引用:映画.com ヒトラーの忘れもの

[公式サイト] http://hitler-wasuremono.jp/about.html
[原題] Under sandet
[監督] マーチン・サントフリート
[キャスト]  ローランド・ムーラー
 ミケル・ボー・フォルスゴー
 ルイス・ホフマン
 ジョエル・バズマン
 他
[ジャンル] ドラマ
[上映時間]  100分
[製作国] デンマーク、ドイツ

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 敗戦後のドイツ兵

終戦後、敗戦国はさらなる憎悪の対象となる。映画の冒頭、力なく歩くドイツ兵をデンマークの軍曹が罵倒する。相手より自分の立場が優位になれば、憎しみは力となり噴出する。一方、敗戦の兵は抵抗する気力も体力もない。

第二次世界大戦とヒトラー/ナチスドイツを描いた映画は多いが、敗戦後のドイツ兵の物語が映画になったのは貴重だ。

「ヒトラーの忘れもの」は、捕虜となったドイツ兵が地雷除去作業のため、デンマークの海岸で強制労働に従事した史実をベースにしている。

https://gyazo.com/7bdb27cb209207f0e17cdab27aff690f

兵といってもまだ子供である。彼らは「ヒトラー・ユーゲント」。ナチスの青年組織である。14~18歳の青少年が、ヒトラー・ユーゲントへの参加を強制された。

大人に刷り込まれた信念で活動した子供たち。ナチスの狂気に巻き込まれていなければ、素直で優しい子らであっただろう。

映画中盤までは、軍曹はドイツ青少年兵に厳しい。過酷な環境と食べ物もなく弱る彼らに「同情はしない。お前たちがどうなろうと関係ない」と冷酷に接するのみ。

隔離されたことで起こる変化

軍曹は、中盤から青少年兵に心を開いていく。もともと誠実で寛容な人物なのであろうが、親身に接するようになった一因は、他のデンマーク兵から孤立していたからだろう。

https://gyazo.com/50b7ea5e0f7757d786e127b160c6ce55
人間は集団に弱い。ドイツ人というだけで子供も女性も老人も憎いと思っている終戦直後の軍隊組織の中にいれば、まだまだ自分自身を取り戻せたりはしなかっただろう。軍曹は、憎いナチス兵ではなく”子供”と接しているのだと気づき、憐みの感情が芽生えていく。

青少年兵たちも、ナチの悪影響から解放され、まだ若く、濁りのない自分自身を取り戻す。瓦礫と化した祖国を想い、復興の力になりたいと希望を抱く。

強力な組織(例え2~3人の小規模のものでも)が発するネガティブで暗いシグナルに巻き込まれると、人は精神のバランスを崩す。本来なら賛同しない考えに同調してしまったり、見てみぬフリをしてしまう。

ナチス・ドイツのような巨大な組織から、我々の日常にある、社内の意地悪グループ、学校のいじめグループまで、他人を虐げたい、他人より自分が優れていることを知らしめたいと思う、愚かな連中はどこにでもいる。その影響下に置かれる人々のほとんどは抵抗できない。

社会は複雑で、何が悪で何が善かを判断するのは難しいが、明らかに誰かが虐げられている時、ラスムスン軍曹が自らの組織に抵抗したように、人を助けるために行動することは大切だと思う。

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地雷原という人間のエゴ

https://gyazo.com/8b01c39a1cbf684d204fe3418771a05e

戦争に勝つ為だけに自然を破壊するという、愚かな行為を行う人間。

地雷原を作ることは、人間のエゴ丸出しのいい例だ。

”砂浜にはなにもない”と思うのは愚かだ。

人間にとって有益なものはないかもしれないが、そこに息づくものがあるのだ。

地雷で被害を被っているのは、人間だけではない。

 平和を取り戻すまでの、長い、長い時間

https://gyazo.com/1b0846f7864fec0a4183883db7f8ebc1
こちらは、「地雷廃絶日本キャンペーン(JCBL)」サイトの、2012年7月9日の記事からの引用である。

 

デンマーク、対人地雷除去完了を宣言

デンマークの運輸大臣は、去る7月5日、コペンハーゲンで行われた式典で、対人地雷の除去完了を宣言しました。

デンマーク当局によると、2012年6月、第二次世界大戦時の地雷が残っていた最後の地雷原から地雷が除去されたということです。ー中略ー デンマークのスカリンゲン(Skallingen)半島には、第二次世界大戦中に大量の対人・対車両地雷が埋設されました。デンマークが1997年に対人地雷全面禁止条約の最初の署名国の1ヶ国になったとき、1.86平方キロメートルの土地がまだ汚染されていました。

デンマーク、対人地雷除去完了を宣言

1945年にドイツが降伏した後に地雷撤去が始まり、2012年に終了。67年間も海岸が汚染され、生き物が危険にさらされていた。

地雷

https://gyazo.com/21622a323e5ab22508a9b56ab4f44234

青少年兵たちが除去していた、皿型の地雷は、対戦車地雷「T. Mi. 42」

Mine Anti Tank M1942
Mine Anti Tank M1942© IWM (MUN 3315)

対戦車地雷Anti-tank mine)の円盤中央に信管がセットされているが、その上に敷設前には起爆しないようにネジ式の安全装置がつけられている。対戦車用地雷は、軽い衝撃、たとえば兵士が踏んだとしても起爆しない。起爆するのは、中央の信管に300キログラムの圧力がかかった時である。

参照:◆対人・対戦車地雷の撤去掃除とオタワ条約; Demining & Mine Clearance Vehicle

後半、突然ひとつの爆発が起こり、軍曹が大事にしていたものが犠牲になるが、この時爆発した地雷は、対人用の「Bouncing Betty(跳ねっかえりのベティ)」であると想像する。

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砂の下

https://gyazo.com/11a12bd1c82f5c37b1406a38d19b64cd

邦題は「ヒトラーの忘れもの」

英題は「Land of Mine」(地雷原)

デンマークの原題は「Under Sandet」。

 

”砂の下”という意味である。

 

人間のエゴで砂の下に埋められた地雷。

生か死か、人の運命を左右する、砂の下に隠れた爆発物。

憎しみの下に埋まってしまった思いやりの心。

狂気じみた世界の中で信念を失わない数少ない人。

 

数えきれない砂粒の中には、絶望もあれば、希望もある。

 

「ヒトラーの忘れもの」映画レビューのご紹介

ブログサークルでお世話になっている、asami kさんのレビュー

『ヒトラーの忘れもの【映画 ネタバレあり】国に代わって懺悔...
  こんばんは、asamiです。 TSUTAYAの邦画コーナに行くと、とある棚にある作品が必ず気になります。どんな作品なのかとい…

 

こちらもブログサークルでお世話になっている、いごっそう612さんのレビュー

 

お二人とも、「ヒトラーの忘れもの」を見て、戦争の残酷さ、人間性を失うことの恐ろしさを感じていらっしゃいます。

ネットで検索すると、他にもたくさんのレビューが出てきて、みなさんこの映画を絶賛しています。

映画を通して、戦争の悲惨さ、戦争の犠牲となる弱者の悲しみを、一人でも多くの方に感じてもらえたら、と、思います。

 

※画像はIMDbから引用させて頂きました

 

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ブロトピ:映画ブログ更新

公開日:2017/09/06
更新日:
  • asami

    kamokoさん、リンクありがとうございました。とても心に響く内容で、映画を見た時よりも考えさせられました。

    人間って弱い生き物なんですね。。
    この世界から戦争なんてなくなればいいのに。。

    • Kamoko

      世の中には人をネガティブな方向に引っ張る力を持ってるヤツがいて、なぜか人はソイツに逆らえなくなってしまう・・・ナチスもオウムもアフリカの内戦も、普通の人たちが巻き込まれて、人を人とも思わなくなるんですよね・・・そういう連中はいなくならないのです・・・悲しいことに。。。

  • いごっそう 六一二

    リンクありがとうございます
    素晴らしいレビューですね!見事に描いてらっしゃるのを観て、ああ、自分の言いたいことこういう事なんだよなあ~と(笑)
    勉強になりました。

    • kamoko

      わー、褒めていただき、ありがとうございます(T_T)
      実は途中で書くの止めようかと思ったんです・・・何をどう書いていいかわからなくなって。
      なんとも悲しい話ですよね。。ナチスのしたことは許し難い行為で、でも、だからと言ってドイツ人の未成年に復讐するんじゃあ、ナチと変わらないじゃん。でも、終戦直後だったら、そうしてしまう人たちがいるのもわからないこともないし・・・
      本当に複雑な気持ちにさせてくれる映画でした。
      こういう映画、一年に一本制作して欲しいです。