【ブリムストーン】悪魔に救済はない。地獄の炎に焼かれるのみ。

ダコタ・ファニング、ガイ・ピアース主演の『ブリムストーン』。壮絶な運命から逃亡した女が舌を失って得た安住の地。そこに悪魔が現れる。マルティン・コールホーベンが監督した問題作。『ブリムストーン』を見て考えたことを長々と書いてます。

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ダコタ・ファニング主演の衝撃作『ブリムストーン』紹介!

カモコです(^▽^)o

主人公が受ける凄惨な暴力と救いのないストーリーに耐えられないというレビューの『ブリムストーン』を見ました。

ダコタ・ファニングの演技とガイ・ピアースの存在感がすばらしく、ストーリー展開も良くて、私はこの映画が気に入りました。

今回の記事は、あらすじを省いて(私にしては珍しく)ストーリーと登場人物の考察メインです。

『ブリムストーン』基本情報

アメリカの田舎にある小さな村に住むリズは、言葉を発することができないが幼い娘の手を借りながら助産師をしている。ある日、村は新任の牧師を迎える。牧師の声を聞き、姿を見たとたんリズは怯え、姿を隠す。リズには壮絶な過去があったのだ。

予告動画

基本情報

●原題:Brimstone
●監督:マルティン・コールホーベン
●脚本:マルティン・コールホーベン
●ジャンル:ドラマ
●上映時間:148分
●製作国:オランダ、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、イギリス、アメリカ
●日本公開日:2018年1月6日

『ブリムストーン』登場人物

◆リズ(ダコタ・ファニング)

舌がないため言葉を発することができない。新任の牧師に怯える。

◆牧師(ガイ・ピアース)

リズの過去に深く関係している牧師だが、村ではリズとの関りを隠している。

◆エリ(ウィリアム・ヒューストン)

リズの夫。言葉が話せないリズを後妻に迎える。

◆サム(アイヴィ・ジョージ)

リズの娘。手話を理解し、言葉が話せない母を助ける。

◆マシュー(ジャック・ホリントン)

エリの息子。リズとは血がつながっていない。

◆ジョアナ(エミリア・ジョーンズ)

牧師の娘。虐待されている母を案じ、父に反発する。

◆アン(カリス・ファン・ハウテン)

ジョアナの母。夫である牧師との夫婦関係が悪化している。

◆フランク(ポール・アンダーソン)

「インフェルノ」というバー兼娼館の経営者。ジョアナを買い上げる。

◆エリザベス(カーラ・ジュリ)

娼婦。ジョアナの親友。

◆サミュエル(キット・ハリントン)

片足に怪我を負ったガンマン。ジョアナが納屋に隠し隠れて世話する。

『ブリムストーン』感想 ネタバレなし

今回、『ブリムストーン』のあらすじは、基本情報に記載した短いものだけにしました。

序盤のストーリーやあらすじを少し書いてもあんまり意味がないなと思ったからです。

映画開始から数十分間のあらすじを書いて、読む人の興味を引いてもいいけれど、前半のストーリーだけではこの映画の良さー不快だとしてもーがわからないからです。

『ブリムストーン』は、リズとジョアナの受難の物語。

第1章「啓示:黙示録(Revelation)」

第2章「脱出:出エジプト記(Exodus)」

第3章「起源:創世記(Genesis)」

第4章「報復: 審判(Retribution)」

の4章で構成されています。

各章でリズとジョアナ、それぞれの過去と現在が映し出され、クライマックスでひとつに繋がります。

なぜリズが牧師に怯えるのか、ジョアナはどこから来たのか、牧師がリズに執着するのはなぜか、全てが少しずつ少しずつ明らかになっていきます。

私はこの映画の展開の仕方はとてもいいと思いました(^-^)

確かに暴力シーンが多いし、登場する女性たちは不幸だし、牧師は狂気的で残虐だけれど、一方で、人間の強さや他人への思いやりもちゃんと描かれています。女性たちは、不幸な運命に抗い、負けずに進もうとします。ただただ残虐なストーリーではないのです。

(C)2016 brimstone b.v./ n279 entertainment b.v./ x filme creative pool gmbh/ prime time/ the jokers films/ dragon films

特に娼館の女たちはしたたかですね!

宗教がテーマでもあるので、プロテスタントの方々は不快な気持ちになったでしょうけれど、どこにも狂信的な人はいるものだし、昔はジョアナみたいな目に遭った女性は少なからずともいたでしょう。

ダコタ・ファニングとエミリア・ジョーンズが強く、美しいです。

二人とも悲しく、不幸な人生を送るけれども、強い瞳で敵(牧師)を見据え、負けてはいません。

他の登場人物たちも魅力的です。

その時代を生き、死んでいった、強き者も弱き者も、善人も悪人も、きちんと描かれている映画だと思います。

なかなか面白い映画です。

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『ブリムストーン』感想と考察 ネタバレあり

以下、映画全体のネタバレあります。

オランダから渡米した牧師一家

牧師、ということは、プロテスタントですよね。

プロテスタントでは、牧師は”教職者”であって聖職者ではないとのこと。神父よりも一般人に近いので、結婚できます。

この映画の牧師一家はオランダからアメリカに移住したようです。

牧師がプロテスタントであること、そしてオランダから移住したことから推測すると、彼らは「改革派」じゃないかなと考えました。(それが当たってるかどうかはわかりません)

牧師の正体は…

リズを執拗に追う牧師についての、興味深い解釈を見つけました。

Weird West RadioのThe Rain Man(2017年3月30日放送)が、『ブリムストーン』についてある持論を展開しました。

牧師は、娼館インフェルノでジョアナに喉を掻き切られた時に死んでいて、村の”リズ”の前に現れたのは、地獄から蘇った霊だという考えです。

序盤の出産のシーン、本当は順調だったのに、牧師が妊婦のお腹に触れた時に、何かしたんじゃないかとも考えてます。

その放送を聴いてみましたが、Mike Flores(だと思う)は力説しながらも、自身の持論が果たして正解なのかどうかは定かではないようでした。

この考えも面白い!

でも、その割には牧師が人間っぽいかなあと思いますね。

オカルト的に考えてみるのも面白いですが、宗教を自分の都合で解釈し、欲望を満たすために利用した人間が破滅する物語、とした方がしっくりくるような気がします。

(C)2016 brimstone b.v./ n279 entertainment b.v./ x filme creative pool gmbh/ prime time/ the jokers films/ dragon films

天国か、地獄か

キリスト教には「輪廻転生」という考えがありません。

死後は神の国へ召されるか、地獄に落ちるかの二択です。

人は死後に”最後の審判”を受け、生前に罪を犯し、それが許されない者は地獄行きとなります。

ヨハネの黙示録

「ブリムストーン(brimstone)」という言葉が出てくるのは、ヨハネの黙示録です。

And the devil that deceived them was cast into the lake of fire and brimstone, where the beast and the false prophet are, and shall be tormented day and night for ever and ever.
Revelation 20:10 Bible Hub

「fire and brimstone」は「火と硫黄の池」のこと。

そして、彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣もにせ預言者もいて、彼らは世々限りなく日夜、苦しめられるのである。
ヨハネの黙示録 20:10

これがキリスト教の「地獄」。

輪廻しないので、地獄行きとなれば、つまり「永遠に地獄で苦しまなければならない」ということです。

永遠の苦しみが続く地獄なんて嫌ですよね…神の救済を求めなければなりませんね。

(C)2016 brimstone b.v./ n279 entertainment b.v./ x filme creative pool gmbh/ prime time/ the jokers films/ dragon films

救われるためには、神を信仰することが必要。

信仰とは聖書に書かれた通りに日々を過ごすこと。

牧師のプロファイル

牧師の妻・アンは始終暗い顔をして、悲しみに沈み、夫を拒みます。

推測するに、彼女はオランダを離れたくなかったのではないでしょうか。

未開のアメリカへの移住は、夫がひとりで決めたことでしょう。

慣れない土地で不安な日々を送るうちにセックスレスになったか、元々夫とは不仲(愛のない結婚)だったか。

精神が安定していないのに、神の愛を感じたり、奇跡を見たり、神の声を聞いたりできるわけがない。

一方、牧師は「妻としての務めを果たせ」と迫ります。

夫の務め、妻の務めは聖書に記載されてますから、それを行わなければ神の教えに逆らうことになります。

夫として受け入れられないという悲しみ、そして聖書の教えに背く日々を送るという焦り。

そうするうちに娘は美しく成長していきます。

次第に娘に視線が移るのは、牧師の視点からすれば当然のこと…

聖書に背く日々を送り続ければ、死後に永遠地獄に堕ちるかもしれません…

妻を鞭で打ったところで、救済されるはずがありません。

地獄への怖れと、単純に女を求める欲望が相まって、ジョアナを求める気持ちが強まったんでしょう。

牧師という職業やキリスト教という宗教を横において考えると、この手の男は、小さい頃に母親の愛情に飢えていた可能性が高いですね。

妻や娘に容赦ない暴力を振るいますし…

幼少期に厳格な母親にペニスに関することを何か言われたか。

父親が他の女に夢中になり、その間、母が息子を虐めたか。

母親が潔癖だった可能性も。

私は呪われた人間だ。救済は届かない。

このセリフからも、牧師の過去に何かあったと想像できます。

(C)2016 brimstone b.v./ n279 entertainment b.v./ x filme creative pool gmbh/ prime time/ the jokers films/ dragon films

自分が母親に望んだ愛を、母となったアンに求めたが拒絶され、代わりに愛してくれると信じた(思い込んだ)娘にも拒絶され、牧師は精神を病んだのでしょう。

最後の、

耐えられぬのは地獄の炎?違う。愛がないことだ。

という、このセリフからも、牧師はもう長い間愛に飢えていたのでは…

でも最後には神も聖書も関係なくなっちゃってましたね。地獄へ落ちてもいいやと自暴自棄に(^^;)

「ヨハネの黙示録」についてはこちら↓も参考にしました。

ヨハネの黙示録(ナショナルジオグラフィック)


硫黄といえば、イコール「地獄」

Brimstone(ブリムストーン)」とは”硫黄”のことですが、キリスト教では硫黄は神からの罰を表現するようですね。

Fire and brimstone」とは、英語のイディオムで「地獄の責め苦」のこと。

ソドムとゴモラを滅ぼしたのは天からの「火と硫黄(Fire and brimstone)」。

「硫黄」はキリスト教にとって怖ろしいもののようです。

九州に住む私にとって、硫黄といえば「地獄」です。

次が「温泉卵」かな(^^;)

長崎県の雲仙に、雲仙地獄があります。

島原半島を代表する観光名所、雲仙地獄。硫黄の香りが立ち込め、地の底から吹き出す蒸気と熱気が辺り一面を覆い尽くす光景は、まさに地獄そのもの。ここはキリシタン殉教の舞台になったことでも知られ、殉職碑も建てられています。 引用:島原半島世界ジオパーク

大分にある別府地獄はもっと規模が大きい。

「fire and brimstone」が「火と硫黄の池」であるなら、やはり、キリスト教の地獄とは自然現象の地獄がもとになっているんじゃないかと考えてます。

九州に限らず、世界中どこにでも活火山がある地域なら同じような「地獄」があるんじゃないでしょうか。

高温のガスを噴き出しながら、地面が泡立つ様子をみれば、昔の人は”それこそが地獄だ”と思ったでしょうね。

キリスト教徒たちが実際にどう思ったか、詳しくは知りませんが、当時の人は(自然現象の)地獄を見て、硫黄の臭気を嗅いで、硫黄は禍々しさの象徴だと考えた可能性はありますよね…

地獄を覗いてみたい方、別府へどうぞ。「海地獄」「血の池地獄」「坊主地獄」がお待ちしてます。そして、地獄を見ながらおいしい温泉卵を食べてみてくださいね(^^)

島原半島ジオパーク別府地獄めぐりのサイトもぜひご参照ください。

『沈黙ーサイレンスー』に島原の地獄シーンが出てきます。

>>見たあと深く考えさせられる映画【沈黙ーサイレンスー】潜伏キリシタンの苦悩

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怖いシーンがたくさん…

女性が顔を殴られたり、背中を鞭打ちされるシーンが多くて、かなり痛々しい映画ですが、もっと痛いシーンがあります(>_<)

ジョアナが”リズ”になるために、自分で舌を切り落とすシーン…

そうしなければ絞首刑は免れないから仕方ないですが…自分で舌を…舌を切除したらどうやって血を止めるんだろう…

一番痛いのが、牧師に襲われたエリが納屋で首をくくられているシーン…

腹を裂かれて、腸を引きずり出され、その腸で首を締められてる…けど生かされてる

首の周りに腸が…1度見た時はわかりませんでした。2度目でわかった。

ガイ・ピアースがリズの娘にまで手を出そうとするのも、精神的にきますよね…

娘だけじゃなくあんな幼い子まで手にかけようと…

リズを引きずって行くシーンにはかなり引きました(=_=)

牧師じゃなくて欲望にまみれたケダモノですよ。

ちょこちょこ出てくるシーンが残酷極まりないので、そういうのがダメな人にはおすすめできません(^^;)

キャストについて

ダコタ・ファニング

”子役は大成しない”というジンクスを見事打ち砕いて大活躍中のダコタ。妹のエルが注目された頃、ダコタへの注目が薄れてしまいましたが、世間がエルと自分を比べても、ダコタは我が道を進みました。

ルックスや名声よりも演技で勝負する、存在感ある女優へと成長しているようです。

もちろん彼女の容姿は美しいです。

この映画を見て、改めて彼女の美しさに気づきました。

ダコタ、特に声が美しいですね。リズは話せないので、ダコタが喋るのは娼館のシーンのみですが、娼婦として働くリズの容姿が”娼婦らしく”メイクされていても、ダコタの声が美しいので、リズという人物の賢さや信念を感じることができました。

ダコタ・ファニングにはこれからも色んな役に挑戦して欲しいです。大作への出演じゃない方がいいかも。

ガイ・ピアース

今回の牧師役、似合いすぎですね…

この人は、精神的に問題のある男を演じるのがうまいですよね。

邪悪過ぎない表情が、かえってその人物の怖ろしさを醸し出しますよね。

最近では、NETFLIXで配信のドラマ『イノセンツ』で謎のハルバーソン博士を演じています。

このハルバーソン博士もちょっとサドで…

>>NETFLIX【INNOCENTS/イノセンツ】謎だらけのエピソード1

ガイ・ピアースといえば、『L.A.コンフィデンシャル』や『メメント』など多数の映画に出演していますが、私は彼が演じる役で好きになったキャラがいないんですよね…でも、ガイ・ピアースが出演する映画はいい映画が多いし、彼が演技力ある俳優であることはもちろん認めてます。タイプの男性でなくても、サイコを演じるガイ・ピアースから目が離せません(笑)

ガイ・ピアースはこの映画の撮影時は、アン役のカリス・ファン・ハウテンと付き合い、彼女との間に男の子が生まれてます。カリス・ファン・ハウテンは『ブラックブック』の主演の女優さんですね。『ブラックブック』は好きな映画です。おすすめです!

『ブリムストーン』視聴方法は?

ブリムストーン(字幕版)
マルティン・コールホーヴェン
この映画を動画配信サービスで見るには?
Amazonビデオ:有料レンタル可
(2018年9月現在)

女性への暴力や少女へのレイプシーン(直接の描写はありません)など、心が痛くなるシーンは多いですが、ストーリー展開が良く、俳優たちの演技がすばらしく、色々と考えさせられる良作です。

私は『ブリムストーン』をおすすめします(^-^)

※聖書は複雑だし、宗派によって考え方や聖書の解釈の仕方が違うので、上記はまるで見当外れだという可能性はあります。あくまでも私個人が考えたことです。あしからず。

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