【魂のゆくえ】己に劇薬を注ぎ、祈りを捧げよ

ミステリー/サスペンス

イーサン・ホーク主演の衝撃映画『魂のゆくえ』トラーの行動とあのラストシーンなど、環境問題中心に考察。ポール・シュレイダー監督新作、あらすじ、登場人物、キャスト紹介とネタバレ感想も。

 

カモコです(^▽^)o

イーサン・ホーク主演、ポール・シュレイダー監督『魂のゆくえ』は、”今こそ見るべき映画”の1本です。

人間社会、宗教、環境破壊など、様々なメッセージを訴えかけてくるこの映画を見て、心を強く打たれました。

今回は『魂のゆくえ』のあらすじ、登場人物、キャスト紹介、環境問題を中心にした感想&考察です。

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『魂のゆくえ』作品情報

 

 

ジャンル:ドラマ、サスペンス
原題:First Reformed
監督:ポール・シュレイダー
時間:113分
製作国:アメリカ
アメリカ公開日:2018年5月17日
日本公開日:2019年4月12日

 

 

あらすじ

 

「2050年の地球はどうなっていると思う?」

ニューヨーク州の教会”ファースト・リフォームド”のトラー牧師は、熱心な環境保護活動家のマイケルからそう質問される。

マイケルは、ファースト・リフォームドの信徒であるメアリーの夫だ。メアリーは今妊娠しているが、地球の環境汚染がさらに進むであろう未来を心配する夫に、子供を産まないようにと言われ、困惑していた。

トラーはメアリーから相談され、マイケルと話し合ったのだが、このままでは地球に未来はないと信じるマイケルを説得することはできなかった。

後日、呼び出されたトラーは、メアリーの家を訪ねる。マイケルが地下室に隠していた”自爆ベスト”をメアリーに見せられたトラーは愕然とするが、その自爆ベストは自分が持ち帰ることにし、マイケルには自分から話をすると言ってメアリーを落ち着かせた。

翌日、トラーはマイケルと会うために待ち合わせの公園へ向かう。

雪が降り積もった公園の中を奥へと進んだトラーは、ショットガンで頭が吹き飛んだマイケルの遺体を発見する。

 

 

登場人物/キャスト

 

◆トラー(イーサン・ホーク)

教会「ファースト・リフォームド」の牧師。息子を戦争で亡くしている。

◆メアリー(アマンダ・セイフライド)

妊娠中のマイケルの妻。

◆マイケル(フィリップ・エッティンガー)

環境保護活動家。メアリーの出産に反対する。

◆ジェファーズ(セドリック・カイルズ)

アバンダンド・ライフ教会の牧師。

◆エドワード・バルク(マイケル・ガストン)

日用品を生産する巨大工場のCEO。

◆ジョン・エルダー(ビル・ホーグ)

ファースト・リフォームドのスタッフ。パイプオルガン奏者。

◆エスター(ヴィクトリア・ヒル)

ファースト・リフォームドのスタッフ。讃美歌を担当。

 

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『魂のゆくえ』感想

 

ラストが一番の話題になること間違いなしです。

 

びっくりしました。

 

これまでに”あっと驚くラスト”や、”身震いするほど衝撃的なエンディング”などをいくつも見たけれど…これにはびっくり。

 

プレーヤーが壊れたんじゃないかと思いましたよ(私はDVDで鑑賞)…

 

ここではネタバレしないので、何にびっくりしたのか書きません。

ぜひ映画をご覧ください。そして体験してみてください。

 

 

実は、イーサン・ホークもアマンダ・セイフライドも苦手なんですよね…

 

好きじゃないキャストが出てる映画は避けちゃう方なんですが、この映画には惹きつけられる「何か」がありました。

「これは見るべき映画に違いない」と感じました。

 

そして映画を見ると、『魂のゆくえ』の世界にぐいぐい惹きこまれていき、気がつけばイーサン・ホーク演じるトラー牧師の横に立ってました。

 

 

トラー牧師の思いを受け取り、見終わったあとは沈思黙考。

 

 

人間社会、環境汚染、自然界と人間、消費者としての自分、そして宗教について、などなど、色んな考えが頭の中をめぐりました。

 

 

主人公のトラー牧師は「ファースト・リフォームド」という教会で、信者や神に奉仕する、落ち着いた真面目な男です。

しかし、夜になると、死んだ息子のことで自分を責め、自分の体に害を与えます。

トラーの息子は、トラーが望んだ通り従軍牧師になりましたが、イラク派遣後たった半年で死んでしまったのです。

 

 

そんなトラーのもとへメアリーという妊婦が相談に来ます。

 

メアリーの夫マイケルは熱心な環境保護活動家で、熱心なあまりに刑務所に入ったこともあるくらいです。

 

マイケルは、数十年後の地球は人が住めないくらいに荒廃すると強く信じていて、そんな絶望的な世界で子供が生きていくのは可哀そうだから、メアリーには中絶して欲しいと望んでいるのです。

 

 

トラーはマイケルが考えを改めるように説得しようとしますが、マイケルの話を聞くうちに、逆に環境問題に関心を持つようになります。

 

その後、マイケルは自殺してしまうので、メアリーが抱えていた問題は解決するのですが…マイケルがしようとしていたことを知り、自然破壊が他人事ではないと気づいたトラーは、環境問題にのめり込んでいきます。

 

 

そして、マイケルの資料から、トラーの教会を支援しているのが環境汚染に関わっている企業だと知り、ショックを受けます。

 

ここからトラーはさらなる葛藤に苛まれ、マイケルが感じていた以上の不安に捕らわれてしまうのです。

 

 

『魂のゆくえ』の本編を見るまでは、主人公が牧師であることから宗教的な映画だと思ってましたが違いました。

牧師であるトラーが人間社会の現実に向き合い苦悶するストーリーです。

 

 

地球の環境汚染や温暖化が深刻な状況になりつつある今、見るべき映画だと思います。

 

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『魂のゆくえ』ネタバレあり感想

※以下ネタバレあります。鑑賞後にご覧ください。

 

トラーの葛藤、怒り、悲しみが自分の脳に浸透してくるような映画でした。

 

マイケルに感化されたトラーが見た現実は、地球をないがしろに発展する文明や、人間社会にはびこる不正行為。

 

信仰と現実の板挟みとなり、もがき苦しむトラーの姿が痛々しい。。

 

教会は神の愛の場所であり、神を信じる者が祈りを捧げる神聖な場所であるはずです。トラーはそう信じていましたが、現実的には教会は組織であり、社会のシステムの一部分だったのです。

 

資金なしに教会を運営することはできず、ただ神の教えを説くだけでは十分な資金を得ることができない。人間社会は複雑で、常に正しい事だけをする訳にはいかないー。

 

トラーもある程度のことには目をつぶり、自分を納得させていたと思います。

お土産の帽子を売ったりするのも、運営費用を稼ぐためです。

 

しかし、マイケルの資料によって知った現実は、トラーの許しの許容範囲を大きく超えていました。

 

バルクに怒り、震えるトラーに、ジェファーズは考え過ぎるなと顔をしかめます。

バルクの工場が地球を汚染していることなど気にかける必要はないという態度のジェファーズにとって、神の愛よりも権力や政治の方が大事なようです。

 

そしてバルク本人はといえば、環境問題を口にするトラーを叱責するほど自惚れています。

金と権力と名誉が全てのバルクは、現代社会の罪悪そのものです。

 

バルクやジェファーズの、信仰に見せかけた欺瞞が許せなくなったトラーは、ラストで過激な行動に出ようとします。

 

しかし、その展開には映画鑑賞者が呆気にとられる仕掛けがありました…

 

 

驚き、唖然とした

※ここにはラストシーンのネタバレがあります

 

ラストシーンを中心に、トラーが過去や未来で何を考えたのか、どう思ったのかをまとめます。私の個人的な解釈ですのであしからず。

 

まずは、あのラストですが…「驚愕の」とか「衝撃の」という言葉では強すぎると思うんですよね。あまりにも唐突に起こったので、その衝撃をくらったのは、エンドロールが流れだして少ししてからでした。

 

「leaning~leaning♪」とエスターが歌う中、しっかりと抱き合い、激しくキスをするトラーとメアリー。これからどんな展開に?!と思っているところ、「lean♪」で突然真っ暗に…!

 

「は(;゚Д゚)?」と唖然としました。。

 

私はDVDで見てたので、ちょっと戻したり進めたりしてみて、プレーヤーが壊れてるんじゃないことを確認してしまいましたよ(^-^;

 

ポール・シュレイダー監督は仕掛けましたね~

あのラストのおかげで『魂のゆくえ』の余韻がいつまでもいつまでも残りました。

 

映画を見てからずっと「Leaning on the Everlasting Arms」が頭から離れません。気がつくと口ずさんでるくらいです。

 

物語の最後はついに250周年のセレモニー開催となりますが、その前に、トラーがメアリーに「セレモニーには来ないで」と強めに念を押しているところから怪しい雲行きになってますよね。

 

何か起こりそう、と思っていたら、セレモニー当日にトラーが自爆ベストを着てるじゃないですか。。

トラーが深く思い詰め、肉体と精神がどんどん病んでいってましたが、まさか爆弾で人を吹き飛ばそうとするとは…驚きでした。

 

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ストーリーの解釈・考察

 

『魂のゆくえ』のストーリー展開を個人的に解釈してみます。

 

 

息子が若くして死んだことで既に精神的なダメージを負っていたトラー。酒による自傷行為が止められません。

(酒を飲んでただ気を紛らわしていただけではないので自傷行為だと思います)

 

そこへ「社会の課題」であるマイケルと、「人間の良心」であるメアリーが現れます。

 

マイケルと話すうちに、トラーがずっと感じていた、何かへの漠然とした怒りや不満が環境問題と重なっていきます。

 

その後、自殺したマイケルの遺体を目にし、マイケルのあの葬儀を執り行ったことがきっかけとなって「社会の課題」を引き継ぐことにします。

 

メアリーと共に過ごす時間はトラーを癒してくれますが、メアリーと触れ合ったことでさらに「人間の良心」の未来を守る為に行動すべきだと、強く感じます。

 

また、「地球の敵」であるバルクに会ったことで、ジェファーズへの不信感は膨らみトラーの思考は海へ流れ出た原油のようにドロドロと「死」の方向へ押し流されていきます。

 

それに加えて癌と診断されたことが、トラーの背中を「死の世界」へと押し出します。

 

トラーは「地球の敵」を抹殺するため、自爆することを決意。

 

その決意は揺るぎないものでしたが…セレモニー当日に窓の外を見るとメアリーが教会に入るのを見てしまいます。

 

「地球の悪」と共に「人間の良心」を吹き飛ばすわけにはいかない…

 

自爆の覚悟はやり場がなくなり、どうすべきかわからなくなったトラーは自らを厳しく罰します。

 

有刺鉄線は荊(いばら)に似ています。トラーは荊の冠で血を流したキリストのように、体を荊で戒め、血を流すのです。。

 

 

ラストシーン

※ネタバレと私の個人的な解釈と考察です

 

有刺鉄線で体をぐるぐる巻きにしたトラー。牧師の衣装を羽織り、グラスの中の酒を捨てて、代わりに配管洗浄液をグラスに注ぎます。

 

それを口元へ運ぼうとした時にメアリーが現れ、二人は引き寄せられるようにしっかりと抱き合い、キス。

 

THE END.

 

さて…唐突に終わっちゃったあのシーンをどう受け止めるべきなのか、この映画を見た世界中の人が考えさせられることになりましたね。

 

 

 

Indie Wireの記事によると、A24のポッドキャストで、ポール・シュレイダー監督が2つのエンディングが考えられると話したとのこと。

 

1.奇跡が起きてトラーは救われる。

2.天国とはどんなところか知りたいか?天国はロングキスのようなものだよ、と神がトラーに語り掛け、それがトラーが最後に見たものだった。

 

参照:Indie Wire “Paul Schrader Explains the Ending of ‘First Reformed’ to Sofia Coppola: ‘Wanna Know What Heaven Looks Like?’”

 

何れにせよ、シュレイダー監督は“I don’t know what the ending is,” とも言ってるそうなので、結局あのラストシーンにどんな意味があるのか、あの後何が起こったのかは、観客が独自に解釈するしかないようです。

 

私は、メアリーが現れたのは現実で、トラーはメアリーに会ったことで再度自爆する決意を固めると思います。

 

そもそもパイプの洗浄剤をあの量飲み込むことはまず不可能です。普通吐きます。。

(てっきり酒に混ぜるんだろうと思ったらお酒は捨てちゃったんですよね…)

 

メアリーには教会から離れるように言い、自爆ベストを再着用してセレモニーの真っ最中に突入。

バルク共々吹っ飛ぶ…

 

この流れがトラーの運命かと思うのです。悲しい運命ですが。

そして、それは誤った行動であり、バルクを吹き飛ばしたところで環境汚染は止まりません。

よしんばバルクの工場が閉鎖しても、リスト6位の工場が5位になるだけです。

 

ある意味、ジェファーズが言った「これが神の意志なのかもしれない」が当たってるのかもしれません。

 

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地球環境改善のために変えていこう!

 

…と、上記、ネガティブな展開を考え意見を書いてみましたが、あくまでも「映画」に対する考えです。

現実には、私たちにはまだ環境を改善させるチャンスが残されてます。

 

産業界のシステム改善や政府の対策や国連の対応など、大きな動きは必要ですが、私たち個人の行動も見直さなければなりません。

 

私は日本の「包装」の習慣が大嫌いです。包んだ方が衛生的だとか、丁寧だとかは、人間の勝手な考えでしかありません。

 

包装紙はゴミになるだけです。

 

スーパーやコンビニでいちいち袋を分けたり、大量に袋を渡されるのにも嫌悪感を感じてました。

最近は田舎の方でもエコが浸透してきましたけど、「袋は要りません」と言った時に店員がムッとする時があります。私が丁寧に扱ってやってるのに何?という顏をする人のことが信じられません…!

 

無駄なゴミを出さないこと!そしてゴミをポイ捨てしないようにすること!

皆がそうすれば、地球環境は大きく、大きく改善されます。

 

『魂のゆくえ』を見て、ラストシーンについてあれこれ考えてみたあとは、環境汚染や気候変動や温暖化対策についても考えてみましょう。。

 

 

米議会と気候変動

 

ところで、トラーがジェファーズに「アメリカ議会はまだ気候変動に否定的か?」と尋ねるシーンがあります。

 

このセリフに興味のある方は、ぜひ以下の記事を参照ください。

ナショナル・ジオグラフィック:

>>トランプ政権が「敵対的な」気候委員会を設置へ

>>トランプ次期大統領が引き起こす気候変動の危機

METRO:

>> Sir David Attenborough vows to convince ‘blind’ Donald Trump of risk of climate change

 

大統領就任前ですが、トランプは数年前に「地球温暖化は中国のでっち上げだ」とツイートしたことがあります(=_=)

 

環境問題については、レオナルド・ディカプリオが熱心に活動してますよ。

LEONARD DICAPRIO FOUNDATION

 

興味のある方は、ぜひレオのサイトをご覧ください。英語のみなんですが…

 

キャスト

 

イーサン・ホーク

 

トラー役のイーサン・ホークを初めて見たのは『いまを生きる』でした。イーサン出演の映画で私のおすすめは、『ホワイト・ファング』『生きてこそ』『ガタカ』…と、初期の作品が好きですね。最近の出演作では、『マグニフィセント・セブン』が良かったです。

生きてこそ (字幕版)
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アマンダ・セイフライド

 

メアリー役のアマンダ・セイフライド…正直、彼女は苦手です(>_<)

アマンダ・セイフライド出演作で見たのは『マンマ・ミーア』(←この映画は好みじゃないです)『クロエ』『タイム』『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』『テッド2』…結構見てますね。

おすすめは、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』です。

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監督:ポール・シュレイダー

 

ポール・シュレイダーは、脚本家として『タクシー・ドライバー』『レイジング・ブル』『最後の誘惑』など、数々の名作を手掛けています。最近ではニコラス・ケイジ主演の『ドッグ・イート・ドッグ』で監督を務めました。この映画にはキャストとして出演もしています。

『タクシー・ドライバー』は衝撃的ですよね…デ・ニーロのあの姿、忘れられません。

 

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