【The NET 網に囚われた男】分断された民族。分断された家族。分断された心。

韓国映画『The NET 網に囚われた男』。人にとって国家とは何か?国家にとって人とは何か?分断された朝鮮民族が抱える悲しみや苦しみをキム・ギドクが描く。『The NET 網に囚われた男』のあらすじ、登場人物紹介、感想です。

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韓国映画『The NET 網に囚われた男』紹介!

カモコです(^▽^)o

しばらく前に『The NET 網に囚われた男』を見ました。ネットフリックスで配信されてるんです。この映画見たかったので助かりました(^-^)

韓国ドラマや映画が大好きな母と見ました。

普通につつましく生きてる人が、国家や民族の問題に巻き込まれて不幸な目に遭うことほど、空しいことはありませんね。。

韓国映画『The NET 網に囚われた男』の紹介と感想です。(ネタバレあり)

『The NET 網に囚われた男』作品情報

予告動画

基本情報

●原題:그물
●監督:キム・ギドク
●脚本:キム・ギドク
●ジャンル:ドラマ、サスペンス
●上映時間:112分
●製作国:韓国
●韓国公開日:2016年10月6日
●日本公開日:2017年1月7日

登場人物/キャスト

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◆ナム・チョル(リュ・スンボム)

北朝鮮の漁師。ボートの故障で韓国領域に入ってしまう。

◆オ・ジヌ(イ・ウォングン)

ナム・チョルの警護を担当する若い男性。ナム・チョルに親切に接する。

◆取調官(キム・ヨンミン)

ナム・チョルがスパイではないかと疑う男。

◆室長(チェ・グィファ)

オ・ジヌの上司。

◆リ・ドゥチュン

ナム・チョルに伝言を頼んだ男。

◆チョルの妻(イ・ウヌ)

◆韓国情報局の責任者(パク・チイル)

◆ソリ

ナム・チョルの娘。

『The NET 網に囚われた男』あらすじ

北朝鮮の漁師、ナム・チョルは、北朝鮮と韓国の国境近くの海で漁をする漁師だ。妻と一人娘と共に貧しいながらも幸せに暮らしている。

ある日、いつものように海に出たが、魚を獲る網がスクリューに絡まりエンジンが故障してしまった。ナム・チョルのモーターボートはどんどん韓国側へ流されてゆき、北朝鮮の国境警備隊員たちは慌てる。

ナム・チョルが南へ移動しているのは船の故障のせいなのか、それとも亡命なのか、北朝鮮の警備隊が判断に迷っているうちに、船は韓国の領土まで流されてしまった。

今度は韓国側の国境警備隊が動き出し、ナム・チョルを拘束する。

韓国警察に引き渡されたナム・チョルは、スパイ容疑をかけられ、尋問を受ける。取調官は、トイレに入ったナム・チョルをわざと襲い、その動きを見てナム・チョルが特殊部隊に所属していたことを見破る。ナム・チョルを押さえつけ、スパイだろうと決めつける取調官に対し、ナム・チョルの警護官・オ・ジヌが「決めつけるのはまだ早い」と止めに入る。

取調官の上司は強引な取り調べ方をやめさせ、今度はナム・チョルが亡命を希望するよう説得を始める。

家族の元へ帰りたいと願うナム・チョルは北朝鮮へ戻ることができるのかー。

以下、感想部分にはネタバレがあります

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『The NET 網に囚われた男』感想:ネタバレあり

以下、感想にはネタバレがあります

韓国と北朝鮮の、分断された民族をテーマに、韓国と北朝鮮の理想と虚構の間で迷い苦しむ姿を描きます。

この映画の予告動画を見た時は、船の故障で韓国に入った北朝鮮の男が、本当に一般人なのかスパイなのか探るような、サスペンス映画だと思っていました。

男がスパイ疑惑をかけられるシーンはあるし、サスペンス的な展開はあるのですが、基本的にはヒューマンドラマで、亡命する気など微塵もない男が、たまたま韓国領域に入ってしまったことで韓国と北朝鮮の両方から疑いをかけられるという、悲愴な物語でした。

目をつぶる男

韓国側へ流れ着いてしまったナム・チョルは、間もなく韓国の警察へ連行されます。その移動途中、ナム・チョルは車の中で目をつぶります。そして「何も見ません」と言うのです。

この時からナム・チョルは北朝鮮へ帰った時に備えています。国に戻れば尋問されるのは明白。だから韓国を見ないようにするんですね…ナム・チョルは北朝鮮は悪い国じゃないと言いながら、国が自分にどんな仕打ちをするかわかっています。将来自分にふりかかる困難に備えているんですね。とても悲しい展開です…

容赦ない尋問

韓国の取調官は、最初からナム・チョルをスパイだと疑い、厳しい尋問を行います。紙と鉛筆を渡し、「生い立ちから今までを全部書け」と言うのです。時間を空けて、同じ内容で何度も何度も書かせるのです。そして、少しでも違いがあると「昨日と違う!ウソをついてるのか?!」と責めたてます。

肉体的に痛めつけられるのは誰だって辛いですが、ただただ紙に書かされるというのも精神的に大きなダメージを受けますよね。。しかも、ちょっとでも違うと全てウソだろうと責めたてられるなんて。

ナム・チョルを取り調べる担当官は、過去の出来事が原因で北朝鮮のスパイを憎んでいるので、北から来る人間は苦しんで当然と思ってるようです。

民族の争いは人にネガティブな感情を抱かせるだけです。自分の経験、家族の経験、仲間の経験、果ては国家の経験まで抱え込み、心の中で憎悪だけが増幅されてゆく…

それでも味方はいる

ナム・チョルの警護官、オ・ジヌだけはナム・チョルに親切に接します。若いので、先輩や上司にはなかなか逆らえませんが、ナム・チョルを人間として公平に扱おうと努力します。

「(北朝鮮に)帰そうとするお前が残酷だ」という上司に「個人を尊重する方が大事です」と話すオ・ジヌ。

韓国の時事や事情に疎いので、今の韓国の若い人たちが、朝鮮民族問題を実際にどう捉えているかわかりません。ソウルなどの都市部に住む若者たちなら、古い過去の確執にこだわりは持たないのでしょうか。。それともこの映画のストーリー上、オ・ジヌのような優しい存在が必要だったのでしょうか。。

きっと今の若い人なら、オ・ジヌのように考え、行動する人はいるでしょう。歴史を反故にはできないけれど、固執しても前には進めませんよね。。

豊かな国、豊かな人生とは…

北朝鮮へ戻りたいと言うナム・チョルに、韓国側は、韓国がいかに居心地の良い国かわからせようとします。ナム・チョルの警護官、オ・ジヌに命じて、ナム・チョルを明洞に置き去りにさせます。

ずいぶん前ですが、明洞、行ったことあります。オシャレの街、明洞。

韓国は”豊かな国”だと信じる韓国人たちは、近代都市明洞を見せれば、ナム・チョルは圧倒され、憧れを抱くだろうと過信します。

たしかにナム・チョルは圧倒されますが、”豊かな”世界のマイナス面にも気づくんですね。

リース・ウィザースプーン主演の『グッド・ライ』にも描かれていますが、”豊か”になると、無駄が出てしまいます。食べ物や物があることを有難いと思わなくなり、すぐ捨ててしまいます。物がありすぎると、心が貧しくなる人もいますからね。。

ナム・チョルは、豊かな国の素晴らしさも、貧しさも、両面が見えるんですね。家族を捨ててまで手に入れたい魅力が韓国にあるとは思えないのです。

貧しくても仲の良いナム・チョルの家族。食べるものがなくても、体を寄せ合い、微笑んでくれる妻と子は、ナム・チョルにとって”豊かさ”そのものなんでしょう。

現実は最初からわかっている

ナム・チョルを拘束していることを北朝鮮に非難された韓国は、しぶしぶナム・チョルを北朝鮮に帰すことにします。ナム・チョルは自分のモーターボートで北朝鮮に戻り、岸辺で歓迎を受けますが…やはり、その後は北朝鮮の尋問官に厳しく尋問されます。

韓国の尋問と同じように、紙と鉛筆を渡され、詳細を書けと迫られます。韓国の人たちがくれた金品は奪われ、囚人のように扱われます。

その後、二重スパイの疑いが解けたナム・チョルは家族の元へ。

ナム・チョルがどうしても娘にあげたかったクマのぬいぐるみだけは奪われず、渡してあげることができました。

しかし、ナム・チョルは疲れ切ってしまいました。。

韓国では「北朝鮮は悪いところじゃない」と話していたナム・チョルですが、韓国から戻れば国が自分をどんな目に遭わせるか、わかっていました。知っていました。

母国北朝鮮と、同じ朝鮮民族の韓国の、両国の希望と現実に翻弄され、心も体も疲れてしまいました。

ナム・チョルの心に残ったのは虚しさだけです…

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『The NET 網に囚われた男』ラスト

『The NET 網に囚われた男』の公式サイトに、キム・ギドク監督の言葉がありました。

意志にかかわらず、人間は、生まれた場所の政治的イデオロギーの中で身動きができない。ある猟師ー壊れたボートで韓国に流されて苦痛を被り、北朝鮮に戻ってくるーを通し、我々は知ることだろう。分断された朝鮮半島によって、犠牲を強いられている我々のあり様を。そして、分断がもたらす大いなる悲哀を…。 キム・ギドク

引用:The NET 網に囚われた男公式サイト

ギドク監督は、同じ民族が国家によって分断された悲劇を描いています。映画は、元々は同じ朝鮮民族なのに、なぜ愚かなことを続けるのだと訴えかけてきます。

本当に悲しいことです…真に分断したいのは、一部の人間だけでしょう。

個人的には、地球上に生きる人間を、民族や国家で分けず、”人間”という一括りにしたいのですが、どうしても人間は、民族や人種や国で分けたがりますね。

ちょっとしか映りませんが、ナム・チョルに厳しくあたる取調官が、うたた寝をするオ・ジヌに上着をかけてやるシーンがあるんですよ。あの取調官だって、鬼畜ではない訳です。

韓国でナム・チョルを説得する女性が「独裁国家は不幸を生みます」と言うと、ナム・チョルは「北朝鮮に行ったことがありますか?行ったことないのに不幸だと決めつけるんですか?」と言い返します。

オ・ジヌの上司は、「独裁政権から1人でも救うことが使命。彼らは洗脳されている」と言います。

独裁政権や独裁国家には、私も否定的ですが、だからと言って、全てダメだと決めつけてはいけないと思うんですよね。

民主主義で豊かな国家は、豊かでない国と人々を見下しがちです。タイにいた時にも感じました。そして、自分たちがより良い存在だと決めつけがちです。

ラスト、ナム・チョルはまた漁に出ます。国境警備員に止められてもボートに乗り、海へ出ます…そして撃たれてしまいます。

ナム・チョルは幸せに暮らしていました。私たちから見れば不幸な生活だったかもしれないけれど、彼は普通に暮らしていました。

それなのに、国家が彼を分断してしまいました…国家の理想が彼の心を砕いてしまいました。。

人のためにあるべき国家が、人を不幸にするようでは何の意味もありません。

キム・ギドク監督作品の紹介

キム・ギドク監督作品を何本かピックアップしました。以下、Amazonビデオでレンタルできます(^-^)

The NET 網に囚われた男

嘆きのピエタ

生まれてすぐ親に捨てられ、30年間天涯孤独に生きてきた借金取りの男ガンド。冷酷無比な取り立ての日々を送る彼の前に、突然母親だと名乗る謎の女が現れる。女は本当にガンドの母親なのか?なぜ今、現れたのかー?疑いながらも、女から注がれる無償の愛に、ガンドは徐々に彼女を母親として受け入れていく。ところが突然、女が姿を消して・・・。

第69回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞した映画です。

殺されたミンジュ

少女殺人事件の容疑者たちと、夜の街に蠢く謎の集団ー彼らの目的とは・・・。ソウル市内を必死に逃げ惑う女子高生、そして彼女を追う屈強な男たち。ミンジュという名の少女は次第に追い詰められ無残に殺された。ソウルの街は少女の死を呑み込み、人々は何もなかったように過ごすのであった。事件から1年たった頃、真相を追いかける謎の集団が不気味に動き始める。集団はミンジュ殺害に関わった男の一人を誘拐して起こした事の告白を強要する。恐怖と自責の念に襲われた男は全面的に自白して許しを請うのだった。やがて集団は一人、また一人と容疑者を誘拐して真実を探ってゆくが、それぞれの立場から語られる証言により事件の背後に潜む闇が明らかになっていく・・・。

『The NET 網に囚われた男』の取調官を演じた、キム・ヨンミンが出演してます。

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